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リスの食 トナカイの母
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先週からずっと休みなしで働きづめ。12時間とか、13時間とかぶっ通しで働いていると、時々頭がぼぅっとして見ているものが見えなくなっていることがある。日本で展示販売をグループでやる準備をしているのだ。このことはまたおいおい書いて行きたいと思う。息抜きのために、今日はロヴァニエミの隣人(動物)リスとトナカイについて。写真は家の極小ガーデンによく来るリス。



リスの活動領域はどのくらいのものなんだろうか。私がいつも見るリスは同じものなのか 違うリスを見ているのか。蜂や蟻や蝶を見かけると彼らの行動範囲をすごく知りたくなる。一生のうちにどの程度遠くまで出掛けるのだろう。

冬になって雪が降ると、新雪に動物の足跡をたくさん見つけることができる。私はいつもそれを追う。以前森を歩いていて、小さな、恐らく野ねずみの足跡を見つけた。二つの逆八の字がたについた小さな足跡と、しっぽがつける長い線が間にある。私の足元にそれを見つけて、ずっと目で追って行くと、それはまっすぐにのびるのではなく、右に曲がり左に曲がり、倒木の上を渡ってまた降りて後ろに逆戻りして……それは何かに向って最短距離を行くのではなく、高い場所に登ってみたり、もと来た道を戻ったりして、道程を楽しんでいるのではないかと思えた。一緒に歩いていたチェコの友人と顔を見合わせて笑う。その小動物から見える世界、雪の深さ、倒木の上から見下ろす景色、走るそのスピード感。雪の結晶は人が感じるのよりもずっと大きく深く空気をはらんでいるはずだ。その動物の四季を思う。

雪が積もっても割に1年中見かけるリスは、私が庭で爪を切ったり枕を叩いていると、決まって松の木の高みからキュキュキュッと威嚇してくる。だから爪が伸びたら夜に切らないで、わざと翌朝外に出て切って、彼が出てくるのを楽しみにする。
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b0091802_16512484.jpg食べているのはバラの実で、庭の柵の外側に植えられている。夏、薄いピンクの花を咲かせた後、秋にはざくろ色の実を膨らませる。リスはこれが大好物らしい。手近にあるものから食べはじめて、秋が深まってくると柵からジャンプして遠くの実を取り、柵の上に戻って忙しく食べている。食べる時はいつもしっぽをくるんと背にはわせる。

b0091802_16552332.jpgでも彼の食べ方はだらしがない。全部食べきらない。ちょちょっと食べては、半分くらい残して行ってしまう。でも地面に捨てるのではなく、柵の上に置いていく。それが何だか、「後で食べよ」と一旦残したみたいで微笑ましい。先日小さなりんごをおすそ分けのつもりで柵に置いておいた。一つは知らぬ間に消えており、もう一つはカラスくらいの大きさの鳥がくわえて持っていった。最後の一つは地面に落ちたまま。リスには人気がないようだった。

昨年までは、リスは一匹ではなく、二匹で現れることもよくあった。木の幹をぐるぐるまわって追いかけっこをしていたのに、今年はいつも一匹だ。車にひかれたか。ボロ雑巾のようになって死んでいるリスを道路によく見かける。これが人だと大騒ぎだけれど、小動物は放っておかれている。リスの相棒の行方を心配する。

Saariselkäというロヴァニエミの北東にある、ラップランドのスキー・ハイキングリゾートに行った時には、車で移動中、トナカイの死体が脇の斜面に横たわっているのを見た。車にはねられたのだ。年間3000頭のトナカイが交通事故で死んでいるらしい。数年前一緒に住んでいた、ルームメイトの若いフィンランド人の女の子が一度トナカイをはねてしまい、帰ってきてかなり怒り、悲しみ、後悔しているようだったのを思い出す。実際トナカイは車からよく見かける。彼らは道路とそれ以外の場所を認識しないため(どんな動物がその違いを知っているというのだ)、クラクションを鳴らしてもなかなかどいてくれないし、脇にいたのが突然道路に入ってくることもある。車の進行方向なんてもちろん認知しないので、ドライバーからは「ばかな動物」と思われ嫌われている感がある。

トナカイの肉はラップランドの名物で、私もよく食べる。死体を見つけた友人と夫は小刀を持って車を降りた。私も見に行った。若いトナカイだ。夫が体に触れてみると、まだ少し温かい。でも、首に一本ナイフで切られた跡があった。死んだ後、すぐに血ぬきをしないと肉はだめになってしまうらしい。どうやら、はねた本人がそれを試みようとして、失敗したようだった。「手後れだ」と友人たちが話しているとき、ふいにプルルッという音が木に覆われた斜面の上方から聞こえてきた。

私は身を硬くして、耳を澄ませた。友人も気がついたようだった。かすかに動く影はやはり、大きな角を冠した母親らしきトナカイだった。何度もプルルップルルッと音を発し、私たちを威嚇する。普段トナカイのこんな鳴きかたをきくことはない。威嚇している。近寄ってくる。私は少し恐くなって、その場を離れ始めた。友人たちも立ち上がった。

ある程度私たちが死んだトナカイから離れると、母トナカイは斜面を降りて姿を現した。死んだトナカイの方に近寄って、匂いをかいだりするのかと思ったら、母トナカイはそこまでそのトナカイには近づかず、もうその事実を承知して、その事実から生まれたもう一つの別の感情を示すかのように、顔を私たちの方に向けて、じっと見据えた。私たちはそのトナカイと距離をはさんで対峙していた。その発する息が白く立ちのぼる。一つ、二つ。殺したのは私たちではないけれど、私はおどおどとした気持ちに包まれる。目をそらし、見に行ったことを後悔して、その視線から車へと逃げた。

人と近く生きる家畜やペットとの、感情のコミュニケーションがあるのは知っている。だけど野生に生きる動物の、感情の存在を強く意識させられるのは、いつもその親が子を失った時のように思う。お父さんやお母さんが子を抱く時、言葉では表現できない愛しさの感情が胸に広がると聞く。多分これは動物的な本能ではないのか。あのトナカイも同じくらいその感情に締め付けられていたのではないのか。泣く、笑うという感情の表現の仕方で相手の心の動きを知る人間とは違う動物の、感情の振れ幅を想像する。

肉を食べる。動物を殺す。人がずっとやってきたことだ。私もそうし続ける。でもあまりに殺傷の現場や事実が目に見えないだけに、スーパーに並ぶ動物の体の一部は製品としてしか私の心に届かない。不健康だ。

腐らせず、残さずに食べる。できることはそれくらいだ。
by aikafeltworks | 2006-10-07 18:48 | 思索・散策
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浦田愛香 フェルトワーク from Finland
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