仕事としてではなく、自分で自分の家を、何年もかかって建てようと思う人って、どれくらいいるでしょうか。日本は地震が多いし免許も必要だろうし、家を自作するなんて、敷居はとても高く感じます。しかしここフィンランドでは自宅のほかに、余暇を過ごすサマーコテージを持つという文化があり、それを自分で建てる人が結構います。レゴのように、きっちりと製材されたログを積み上げて作るログハウスが典型的で、ログビルダーに基礎を作ってもらえば、室内の仕上げは自分でできます。 ですがペッカさんは、ある程度レディーメイドされたログハウスではなく、木を選んで切り出すところから、自分でできることは全部自分でやりつつ、まさに世界に一つのログハウスを建てると決めました。3人の子供に手がかからなくなってはいましたが、まだまだ現役の働き盛りで忙しい中、週末と夏休みを利用しての作業です。最初は妻に反対もされましたが、ついに1994年、建設にとりかかりました。 コテージの敷地へと続く私道を作り、地ならしをし、木を切り出し‥1994年に始まった建設作業は、テラスが出来上がって寝泊りができるようになるまでに、実に5年かかりました。ロヴァニエミの冬はマイナス30度近くになるから、暖房のない建設現場での作業は無理です。最初の数年は夏だけの作業でした。 ペッカさんの息子である、私の夫のカッレは、コテージを作っている時のペッカさんは、時にひどく疲れて機嫌が悪いこともあった、といいます。仕事をしつつ、土日は現場へ。それを何年も続けていくのですから、体力的にきついのが想像に難くありません。それでもくじけないお父さんを見て、尊敬しない子供なんていませんよね。 趣味というには程遠く、ライフワークというのもまだ軽いような、ペッカさんの人生の柱となっているコテージ作りは、庭や畑を含めて今も続いています。毎週末、夫婦揃ってコテージへ出かける姿を見れば、彼らの老後の過ごし方も容易に想像できます。 彼は大きな夢を見て、それを自分で叶えるために生きている。 そういう人生を、黙々と生きている。 私に一番近しいフィンランド人は、そういう人です。 ペッカさんが建てたコテージに、私が始めて招待されたのは2003年のことで、コテージはすでに出来上がり、畑ではジャガイモを育てていました。近くに移築した薪小屋を含め、ゆっくりと案内をしてもらい、アルバムを見ながら、建築の工程を見せてもらったのでした。 それを時系列でご紹介したいと思います。画像をクリックするか、こちらからどうぞ。
by aikafeltworks
| 2013-06-14 05:40
| 思索・散策
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