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カテゴリ:物作りマネジメント勉強会( 4 )
ものづくりマネジメント勉強会#4 ケーススタディ: FREITAG 2
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さて、FREITAGケーススタディの続きです。(前回の記事はこちら

●1994年春 初のメディア露出
    Freitag兄弟が1993 年夏に最初のバッグを製作した翌年の春、初のメディア露出をはたしていますが、これは兄Markusが3回にわたりエディターへの訪問を行った後、発行部数41万を超える日刊マガジンの、週末バージョン『プロダクツ&トレンド』のページにバッグのカラーイラストレーションが紹介された、という形でした。

フリーランスのデザイナーの皆さんは、ご自身の活動の情報を自発的に新聞、雑誌類に流しておられますか?私はフィンランドへ渡る前に大阪のデザイン事務所で働いていましたが、ここで学んだことの一つが、どんなに有名なデザイナーでも情報は自ら送らねば発信されない、ということでした。そのころ(15年ほど前)はまだインターネットもそれほど普及しておらず、画像を送るのも、リバーサルフィルムをコピーし(これが高い!一枚、4、5千円したと思います)それに文章を添えて、イベントが開催されたり新商品が出たりするたびに10から20の編集社にお送りしていました。これは広告としてではなく、情報欄に無料で載せてもらうこと、さらには特集などの記事にしてもらうために発信するもので、編集者の考えによって取り上げられたり取り上げられなかったりします。それに加え、私のボスであったデザイナー自身、良く知っている国内外の雑誌の編集長に電話をかけたりして、できる限りコンタクトを取る努力をしていました。

b0091802_23431363.jpg私がフィンランドで会社を立ち上げた時、ロヴァニエミ市の中小企業支援センターがやっているビジネスコンサルタントにみてもらったことがあるのですが、展覧会開催の計画があると伝えると、やはりその時に新聞社などに自分で直接電話もするようにといわれました。イベントを行うギャラリーやショップに頼るのではなく、自分で情報をコントロールするために、プレス関係、顧客、ショップのリストを作り、何かあるたびにコンタクトを取れ、と。それもあって、展覧会やイベントをする時は、CDに情報や画像をまとめて、日本では北欧系の雑誌に、フィンランドではハンドメイドやインテリア雑誌に向けて事前に情報を送るようにしています。7から10の編集社にお送りして、1つか2つが興味を示してくれます。『北欧スタイル』に数ページに渡る記事を載せていただいたことがありますが、これも、このような活動がきっかけでした。実力があるとか有名であるから誌面に取り上げられると思われるかもしれませんが、もちろんそれもあるでしょうが、それだけではなく、こうしたコミュニケーションによって機会を得るのです。(左は北欧スタイルNo.14 『ラップランドに息づくマイノアデザインのハンドクラフト』)

しかしながら‥。CDを送れても、面識のない編集者に直接電話をするのは緊張しますし、私は誰かに代わって欲しいとさえ思います。まして会いにいくのはかなりの勇気がいることです。ここで注目したいのが、Freitag兄弟、兄のMarkusは、同じ編集者に3度も!かけあって誌面露出をはたしていることです。この辺が‥‥成功する人とそうでない人の違いかもしれないと、私は思います。デザイナーは優秀で打たれ強いセールスマンでもなければならないのですね。

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by aikafeltworks | 2011-02-09 00:21 | 物作りマネジメント勉強会
ものづくりマネジメント勉強会#3 ケーススタディ: FREITAG
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さて、今回はデザイナーが商品の生産・販売も手がけ、世界的に成功したユニークな例として、スイスに拠点を置くFREITAGが歩んできた道のりを見てみたいと思います。

FREITAGは兄Markus Freitagと弟Daniel Freitag兄弟が1993年にチューリッヒに設立した、使用されなくなったトラックの幌、車のシートベルト、自転車のインナーチューブを再利用して作るバッグ類のブランドで、現在では40を超えるコレクションを持ち、ベルリン、ハンブルグ、ケルン、ダヴォス、チューリッヒにフラッグシップショップを構え、商品はヨーロッパ、アメリカ、日本など世界中のショップで販売され、80名近くのスタッフを抱える会社に成長しています。

Freitag兄弟が、バイカーが使う、雨に強いメッセンジャーバッグを制作しようと思うにいたったのは、彼ら自身のニードがあったからで、兄Markusは空間デザイン(ビジュアルコミュニケーション)を学んだあと商業ディスプレイを手がけていたし、弟Danielはグラフィックデザイナーで、二人ともバッグの試作品を作るデザインの素養がありました。ロゴ、タグ、パッケージのデザインはDanielの意匠で、現在でもFREITAGの商品のデザインは彼ら自身の手によってなされています。しかし生活の中にあるアイデアを実際に形として生み出すために、ゼロから生産のシステムを立ち上げて動かし、成功するにいたるのに何よりも必要だったのは、二人の並外れた行動力と忍耐力といえると私は思います。

デザイン自体かっこいいけれど、私が彼らに強く興味を惹かれる点は

●彼らがゼロから(できることから)スタートしたこと
●基本的な材料をすべてリサイクルでまかなうというアイデア
●その材料を集めるためのマーケットがないので、自ら材料集めのシステムをつくっていること
●リサイクルだから安い、という先入観に屈せずリサイクルにかかるコストをきちんと価格に反映し、最初から高価格(適正価格)を貫いたこと
●高価格ゆえのニッチ市場で、カスタマーを納得させる商品のストーリーをきちんと伝え、そこからずっとぶれずにいること

です。まずは、始まりの1993年から2001年まで、Freitag兄弟がどのようにしてブランドを立ち上げていったのか時系列にそって抜粋し、その中でさらに掘り下げたいテーマについて書いていきます。

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by aikafeltworks | 2011-01-25 19:37 | 物作りマネジメント勉強会
ものづくりマネジメント勉強会#2 ITがもたらす生産プロセスの変化
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b0091802_1748385.jpg前回のポストでは、フリーランスデザイナーにはデザインのスキル以外に、製品を生産するための工房、できた製品を世に出すための販売店までの道筋をも作る、マネジメント能力が必要であると書きました。

実際にそのために動き出してみると、商品が売れるまでには、デザイナー、工房、販売店それぞれの立場での人材、投資、アイデアや時間が必要で、デザイナーの熱意だけでは成功しません。モノが売れないといわれているこの時代に、新たな商品を開発・販売しようとするなら、3者が同等に、ある程度のリスクを負う覚悟が必要です。(写真はAika Felt Works Cottage bag。型抜きのカッティングのみ外部の工房にお願いし、後は自分で制作している。フィンランド国内での生産。)

個人のデザイナーがあとの2者に、このような条件を乗り越えて渡りをつけるのは難しいことです。特に生産する時点で、一方で人件費の安い海外で生産する場合は、500から2000程度の最小発注数となり、初期投資が必要で、商品在庫を抱えることになり、もう一方で最小発注数に融通のきく国内での生産は、コスト高になり価格にはねかえります。在庫が多い場合はチェーン展開しているような販売店を見つけることが必要ですし、価格が高ければブティックや専門店など、ニッチのマーケットに強い販売店をコツコツと見つけていかねばなりません。

しかしながら、ご存知のように、インターネットの普及でこの状況も変わってきています。デザイナーやメーカーとカスタマーが直接繋がり、ショップが必ずしも必要でなくなってきているという現状があります。

前回のポストにメールでコメントをしてくださったhozmi designのデザイナー、寳角光伸(ほうずみ みつのぶ)さんはこのようにおっしゃっています。

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by aikafeltworks | 2011-01-16 17:31 | 物作りマネジメント勉強会
ものづくりマネジメント勉強会#1 はじめに
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b0091802_3344320.jpg2005 年にフィンランドでAika Felt Works を立ち上げて今年6年目を迎えます。自分の身一つでフィンランドへ渡り、資本もネットワークもない中で、フリーランスのデザイナーとして、とにかく商品を世に出すために、まずは自分で商品を生産し、梱包し、ショップを探して売り始めるという方法をとりました。(左写真はフィンランドでAikaFelt Works初めての個展の様子)

100%手作りのフェルト作品を制作、ショップに卸し、販売することから始めて、個展を開いたり、Design Council of Finland から助成金を授与されたのを契機に、工業用フェルトを輸入、手作業の割合を減らしつつ同じフェルトという素材を使った新たな商品群をデザインしたり、日本へのグループでのマーケティングに挑戦、ショップエキシビションを開催したり、フランクフルトの国際トレードショウへ出展したりなど、いろいろな方法を試し、手探りで実際にやってみながら、クラフトビジネスについて学んできました。

いつも、『手探り』でした。伝統的なクラフトではなく、デザイン性のある手作りの高価格な商品を、大量生産された安い商品に埋もれさせず、どうやって売っていくのか。これといったモデルケースを見つけることができず、日本で実践に役立つ書籍も見あたりませんでした。

私が直面する問題はいつも、デザインのことではなく、マネジメントでした。どのくらいのサイズのビジネスにしたいのか。そのサイズに見合った収入を得るためにはどんな市場をターゲットにし、そこにどのような方法で販路を築いていけばいいのか。販路まで築けて初めて、価格帯が決定され、そこで受け入れられるデザインとはどんなものなのかを考えることができるのです。

東京デザイナーズウィークや、ミラノサローネで見られる、若いデザイナーの試作展示は優れたものが多くて、本当に素晴らしいと思いますが、フリーランスのデザイナーが、デザインを実際に世に出すためには、メーカーと販売店を探さなければなりません。現実には、ここで止まってしまうデザイナーが多いのではないか、と私は推測します。デザインだけではダメで、そこから前に進むための他のスキル、マネジメント能力が必要なのです。私の場合、労働時間の半分は、このマネジメントにかけていると言っても過言ではありません。

    優れた職人、優れた企業あってのデザイナー


     我々は生まれてきたデザインを語るとき、デザイナーの名ばかりを語るがそれでは不十分だ。優れたデザインが生まれた背景には優れた作り手や企業家の存在がある。デンマークでいえばフリッツ・ハンセン社とアルネ・ヤコブセンの関係、そしてヨハネス・ハンセン社の社長で優れたスネーカーマスター(名職人の称号)でもあったヨハネス・ハンセンとハンス・J・ウェグナーの関係。(中略)

     フィンランドのアルヴァ・アアルトも抜きん出た才能の持ち主であったが、デザイナー個人の力で有名になったわけではない。有名な成形合板の椅子が生まれた背景には、オットー・コルホーネンという成形合板に取り憑かれた男の存在があったことを忘れてはならない。(中略)

     それともう一つ大事なのが、苦労をして生み出したプロダクトを販売するルートをいかに確立するか。アアルトの場合、1935年にアアルト本人と妻でデザイナーのアイノ、歴史学者のニルス・グスタフ・ハール、そしてマイレア・グリクセンの4人でアルテック社を創立。自らがデザインし、アルテック社で売る、という確固たるシステムをつくった。アアルトの例は特殊ではあるが、優れたデザイナーは自分の才能を発揮するための企業や工房を自分で探してくることを積極的にやってきている。だからこそその製品は現在までつくられ続け、我々の暮らしに身近なものとして親しまれているのだ。
    (後略)
    (北欧スタイル№18 「なぜ?なに?北欧デザイン」p19 文=島崎信さん 2009年エイ出版社 より引用)

フリーランスデザイナーの皆さんの現状はいかがですか?どう思われますか?
ここでは、私が経験したマネジメントの失敗例、成功例の紹介、先輩デザイナーやショップ経営者へのインタビューなどから、過去の経験や知恵をシェアし、私達のマネジメントスキルの向上を図りたいと思います。また、インターネットの普及でデザインを取り巻く状況も変わってきています。日本より早くネットの普及が進んだアメリカの現状の研究をすることによって、日本のデザイン、クラフトのマネジメントがどのように変わっていくのかも考えていきたいと思います。

私もまだビジネスについては模索中です。ここで多くの人に接することによって勉強していきたいと思います。コメントをお待ちしています!!
by aikafeltworks | 2011-01-06 04:02 | 物作りマネジメント勉強会



浦田愛香 フェルトワーク from Finland
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