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フィンランドで妊娠出産#3 産まれました~!
出産予定日の2月17日を迎え、いつ陣痛がくるのかと、ソワソワ落ち着かない時間を過ごしつつ何事もなく一日が終わり、次の日も過ぎ、ようやく19日未明、1時半ごろおなかの痛みを感じてトイレにたつと、出血が‥‥!これが世にいう「おしるし」か!おしるしが来て3日以内に陣痛が始まる、と本で読んでいたので、早く来て欲しいと思っていたら、そのまま陣痛らしきものが始まりました。

日本では陣痛が10分おきにくるようになれば病院へ電話して入院するように、という流れのところが多いようですが、Rovaniemiの病院では5分間隔になったら直接病院へ行って良い、とのことでした。夜が明けるのを待ち朝食をとって、夫の運転する車で病院へ。道中、「帰るときには3人だね」と、なんとなく現実とは思えない気持ちで二人で話していました。
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写真は病室から見ていた風景。



フィンランドの病院で、私がすごくいいなぁと思うことの一つが、医師でも看護師さんでも、患者も含め、まず最初にお互いの名を名乗り、握手をして診察が始まることです。なんだか、協力してことに立ち向かう感じがして、私のサポートをするために彼らはいてくれるんだなと実感できるのです。

さて、まずは衣服を着替えて分娩監視装置をつけ、陣痛の間隔をモニターします。陣痛はまだ10分間隔でしたが、ドクターの指示でもうこの段階で分娩室へ移る事に。前回写真で紹介した、星の照明があるあの分娩室です。陣痛促進剤を点滴、赤ちゃんの心音、私の陣痛の波をモニターするケーブルが私の身体と機械類を繋ぎます。そして、陣痛が進むにつれて痛みはどんどん耐え難いものになっていきました。

大きなバルーンにまたがって身体を揺らすと痛みを逃がすことができるよ、とアドバイスされ必死でそうするのですが、腰は震え、呼吸のし過ぎで過呼吸のようになり手足もしびれ、頭はハイな状態になっていきました。日本ではヒッヒッフーの呼吸法がよく紹介されていますが、こちらでは深く深く深呼吸。そしてこれも前回紹介した、妊婦さんのためのバスルームがあるのですが、そのお風呂に入るか、と勧められるも、歩くこともままならず残念ながら断念。分娩監視装置のモニターには陣痛の波が表示され、数値で痛みが表示されるのですが、0から6、10、20、とどんどん上がっていくに従い「来た来た来たー!!」と痛みの波が駆け昇り「あ゛がぁ~!!」と痛みに襲われるがままなす術もありません。

この痛みの波のなかで、陣痛って拷問だわ!と思いました。人喰い鮫に下半身をがぶりといかれ、意識ははっきりしている状態で、絶望的に長時間海面に叩きつけられながら血を流し衰弱していくあの感じ。トラやライオンにこれまた下半身をガッツリやられて、生きたまま地面に叩きつけられむしゃぶりつかれるあの感じ。。ひと思いに殺してくれ、といいたくなる残酷なしつこさ。経産婦の皆さん、この感想どう思いますか?


さて。こちらでは無痛分娩が一般的で、事前に何も伝えなくても、痛み止め(飲み薬)を飲みますか?麻酔(背骨に打つタイプのもの)を打ちますか?と早い段階から妊婦の意思を聞いてくれます。日本ではまだ無痛分娩を行う病院は探さなければならないとか。私はフィンランドの知人や親類から、この麻酔のおかげでとても楽になったと聞いていたし、麻酔を打ってくれとお願いするのが遅すぎて麻酔なしで出産に臨んだ人の話も聞いていたので、楽になるなら早く、と思ってお願いしました。

この麻酔がてきめんに効き、まさに痛みだけが取り除かれ、その後は子宮口が全開大になるまで食事もとれ、寝ることもでき、陣痛はほとんど感じませんでした。この麻酔、全ての人に同じように効くわけではないそうで、ほとんど効かなかったとか、太ももがだるくなっちゃったとか、感覚がなくていきめなかったとか、いろいろ個人差があるようです。ドクターの、「じゃあ、最後に産むまで休憩しててね」との言葉どおり、私はそれ以降、陣痛の痛みから遠ざかりました。
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左が分娩監視装置のモニター、右は麻酔が効いて余裕でディナーの私。

陣痛促進剤の投与速度を速めて様子をみましたが、全開大になるまでにはまだたりない感じで、麻酔が切れ始めて私が不安になり、麻酔の追加をお願いしましたが、筋肉弛緩剤を注射して子宮口が開くのを期待しましょう、ということになり、今度はそれが効いて夜9時ごろには子宮口が全開大になりました。そして、助産師さんから、「自分の気持ちの踏ん切りがついたときに好きに産んでいいですよ」との許可が。

え?
そうなの?

産むタイミングを自分で決めていいの?あと数時間で日付が変わって20日になるけど、誕生日を20日にしたかったらまだ待ってていいわけ?でもきっと助産師さんたちもはやく仕事終わりたいだろうし‥などといらぬことを考えてしまいましたが、じゃ、とりあえず産みますか、といきみ始めました。麻酔は少し切れかけていたので陣痛は感じながら、またいきむと痛みも感じます。

分娩室は病室というよりは、天井に星の照明があったり、大きなテレビのモニターがあったり、ロッキングチェアがあったりして、なんだか医療設備の整ったホテルのような雰囲気なのですが、さらに、夫はテレビで毎週楽しみにしているドイツの刑事番組が始まってしまい、それが気になって、私がいきんでいる横で助産師さんに「テレビ消した方がいい?」と聞いては、「いいよ消さなくても」なんて言われていました(ええんかい!?)。最後にはテレビは消し結局お産にみなが集中して、助産師さんの、「次のいきみで産まれるよ!」との実況中継を聞きつつ、私は痛みで最後は絶叫しながら、とうとう赤ちゃんを産みました。陣痛を感じ始めてから約21時間、いきみ始めてからは24分での出産でした。

私は赤ちゃんを産んだら絶対泣くだろうと思っていましたが、いきみは200メートル全力疾走した後みたいに体力を消耗して、私の足元の赤ちゃんの丸まった背中を見て産声を聞きながら、ああ、よかった、生きてる、と呆然と思い、涙は流れませんでした。身体を洗ってもらって私の胸の上に乗った赤ちゃんは温かくて、すぐにお乳に吸い付いてきました。
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結局私のお産は麻酔のおかげで、陣痛をフルマラソンに例えれば、スタートとゴールの3キロずつを走っただけ、という安産だったと思います。それにも関わらず、出産が終わり夫には「ネバーアゲイン!次はない!」と私は理不尽とも思える陣痛、出産の痛みに逆上していました。これを麻酔なしでやり遂げていたとすると一体どんなことになっていたのか‥‥。私の、全ての母親を見る目が変わりました。えらい、えらいですみなさん。。

ここRovaniemiでは新生児室に赤ちゃんを集めるという習慣はないようで、赤ちゃんの世話をする気力体力があれば産んだその時からずっと病室で一緒にいることができます。病院にはファミリールームというのが一部屋だけあって、ちょうど私が赤ちゃんを産んだ日に部屋が空いて、夫と赤ちゃんの三人で退院するまでそこに泊まることができました。一晩68ユーロで夫の食事もつき、診察もその部屋で行われ、おしめの換え方や入浴のさせ方のトレーニングも夫と一緒に受けれて、面会もプライベートが守られて大満足でした。何より、一晩中頼りになる助産師さんたちが詰めているので、夜中の授乳や、赤ちゃんがどうしても寝付かない時などいつでも助けを求めることができ、体力的に厳しければ赤ちゃんを預かってもくれました。私はまだ退院したくなかったのですが、夫が早く家に帰りたがったため、入院は5日間だけ。これも、入院日数が特に決まっているわけではなく、好きなだけいていいですよ、とのことでした。
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ある日のランチ。味は‥‥まぁ、まずくはないです。ファミリールームにて息子と。

退院の日、カルテのコピーを持って助産師さんが部屋を訪れ、私の出産の経過がどうであったのか、何時何分にどのような処置をおこなったのかの説明をしてくれました。カルテには私の感想を書く欄もあり、これに記入を終えて、出産がひと段落つくのです。フィンランドでの出産はスパルタ式だとかいろいろな話を聞いていたのですが、私の経験したお産はとても満足のいくものでした。私はフィンランド語をほとんど話せないにも関わらず、自己紹介から始まる、言葉・コミュニケーションの不足というものを感じさせない体制がフィンランドの医療の一つの特徴のように思いました。

さて、気になる出産のお値段。退院して送られてきた請求書には、出産当日の費用が32.5ユーロ(約3800円)と、その後のファミリールーム宿泊+ケア費が一日二人分で68ユーロ×4日で272ユーロ、合計304.5ユーロ(約3万5千円)でした。日本で無痛分娩を希望すると10万円ほど費用が上乗せされる、とどこかで読みましたが、ここではその費用はあってないようなもの。歯科にかかるのに半年待ちの現状がある一方で、出産に関してはパーフェクトといえるのではないかと思います。

二度と出産なんてするもんか、と思ったはずなのに、2週間以上がたった今、陣痛がどんな痛みだったのかあまりよく思い出せません。出産を無事終えて、一番早く伝えたかった日本の両親に電話をし、受話器の向こうで母の泣く声をききました。私の両親が、私が産んだ息子に会うのは今年の秋になるかなぁ。。いっぱい心配してくれてありがとう。「里帰り出産」という日本の習慣に、甘くて切ない感情を抱きながら、フィンランドで子育てを始めています。
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by aikafeltworks | 2011-03-08 03:27 | フィンランドで妊娠出産
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浦田愛香 フェルトワーク from Finland
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