KEVÄTLAULU 春のしらべ から さて、第一回です。美味しいお茶を片手に、本文に入っていきましょう。 Tyynenä ja pilvettömänä iltana huhtikuun loppupuolella Nuuskamuikkunen tuli niin kauas pohjoiseen, että varjonpuoleisilla rinteillä oli vielä lumiläikkiä. (WSOY "Näkymätön lapsi", by Tove Jansson) 3月の末の、ある良く晴れた、おだやかな日のことでした。北へ北へとめざしてきたスナフキンは、まだ山の北がわに雪がきえのこっているあたりまできました。 (講談社 ムーミン童話全集⑥ 『ムーミン谷の仲間たち』 山室 静さん 訳) 単語帳 クリックすると拡大されます。 ☆今週のポイント ● 語尾活用1 --na, --nä (様格 essive) フィンランド語と日本語で似ている部分があるとすれば、単語の最後につく語尾活用。 日本語の助詞に似ています。英語の場合の前置詞のような表現を、語尾活用でするのです。 Tyynenä ja pilvettömänä iltana huhtikuun loppupuolella 『4月下旬の、穏やかで雲のない夜に』 (山室さんの訳では3月となっていますね。原文では4月です。フィンランドでは4月下旬はまだまだ寒い季節。日本の感覚に合わせているのでしょうね。) 英語で言えば『On the....』 、日本語だと『~に』という感じでしょうか。 この活用を、『様格』といいます。 びっくりするのは、『四月下旬の huhtikuun loppupuolella』を修飾する 『穏やかな tyyni』 『雲のない pilvetön』 『夜 ilta』の全てにこの語尾活用が適用されること。ちょっとくどい?(笑) 語尾活用するときには、ただ-na, -näをくっつければ良いのではなく Tyyni の i が e に変化するなど、細かいルールがあり。。いちいちパターンを覚えられないので、声に出して慣れていくしかないかな~と思います。 ● 語尾活用2 --n (属格 genitive) huhtikuun 『四月の』 英語だと『...'s』 とか 『of』、日本語だと 『~の』 という感じ。 これを、『属格』といいます。 特定の動詞などの目的語として属格が使われることがあります。 ● 語尾活用3 --lla, --llä (所格または接格 adessive) loppupuolella 『下旬に』 これも英語だと『On the....』、日本語だと『~に』。『~の上に』という感じで、何かの上にあるという状態を説明する時にも使われるようです。 これを『所格または接格』といいます。 ● 動詞 tulla の過去形 tuli tuli を辞書で引いても見出しにはありません。 原型は tulla で意味は英語の come に相当します。 tuli は3人称単数の過去形。 ということは、そう、動詞には1人称単数、2人称単数、1人称複数、2人称複数…と活用し、さらにそれの過去形や過去分詞があるんです。。 とりあえず今日は、スナフキン(固有名詞で単数)や彼女、彼(3人称単数)が『来た』と言いたい時は『tuli』とだけ覚えることにしましょう。 ●語尾活用4 --aan, --een, --iin, --oon, --öön, --ään, --han, --hin, --hon, --hän, --hön, --hen, --seen (入格 illative) pohjoiseen 『北へ』 また語尾活用がでてきましたね。 これは英語だと『to the ...』、日本語だと『~へ』『~に』という感じ。 特定の動詞の補語としても使われます。 これを『入格』といいます。 ● 動詞 olla の過去形 oli olla は英語のbe動詞に相当する語で、とっても大事。 これも人称ごとに活用しますが、後日まとめることにしましょう。 ● ~がある の文 varjonpuoleisilla rinteillä oli lumiläikkiä 『日陰の斜面側にはまだ雪の消え残りがあった』 これは英語では『there were...』と表現するところですが、フィンランド語では独特です。 このように、...lla, ....llä + olla動詞 または ...ssa, ...ssä + olla動詞 で何かがどこかにあることを表現します。 Osakassa on hyvä ruoka. 大阪には美味しい食べ物がある。という感じですね。 これからたくさんこのような表現が出てくると思います。少しずつ慣れていきましょうね。 ● niin ...., että ---- 構文 英語の『so ...., that ----』に相当。『とても....なので----』、『あまりに....なので----』。 日常会話でもよく聞こえてくる構文です。 ● 語尾活用5 --a, ---ä, --(t)ta, --(t)tä (分格 partitive) 名詞 lumiläikkä の分格複数形 lumiläikkiä 日本人に理解しにくい文法の一つが、英語の冠詞、a、 the、と、複数形の語尾につく s とその使用法。フィンランド語にもこの、数えられる名詞、数えられない名詞の区別があって、複数にする場合、基本的には -t を語尾につければいいのですが、あいまいな量を説明する場合に、単数の場合は-a, -ä が付き、複数の場合は ja, jä, ia, iä などが付きます。 ここでは、『(いくらかの)雪の消え残り』と説明するためにlumiläikkiäとなっています。 ややこしい~。 あぁ、ワンセンテンスでこんなにいっぱい文法を学ばねばならないなんて。。 初回だから大変なのかしらん。。 今日は語尾活用を中心に焦点をあててみました。 今後、ゆっくり動詞の活用なども一緒に覚えていきましょうね。次回をお楽しみに! *fidaさんからコメントをいただき、格の日本語名がわかりましたので、1/23文法解説の語尾活用に関する項目を書き直しました。fidaさん、ありがとうございました!
by aikafeltworks
| 2011-01-08 04:33
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